高校を卒業して就職を考えるとき、「土木の仕事」という言葉にどんな印象を持つでしょうか。外での作業、体力勝負、経験がものを言う――そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。けれど実際には、高卒でも正社員として安定した収入を得ながら働ける業界の一つとして、土木は着実な需要があります。特に公共工事を多く扱う会社では、地域のインフラを支えるという社会的意義もあり、景気の波に左右されにくいという特徴があります。
また、年齢や学歴に関係なく、資格や経験に応じて昇給が見込める仕組みが整っていることも、この業界ならではの特徴です。「最初は月給が少ないのでは?」という不安を持たれる方もいますが、将来的にしっかりと年収を上げていく道があることを理解すれば、むしろ堅実なキャリア選択だと言えるでしょう。この記事では、統計や公的な情報に基づき、高卒で土木業界に入った場合の年収とその可能性について、冷静に整理していきます。
土木作業員の平均年収と年齢別の収入推移
土木業界で働く人の年収は、学歴よりも「経験年数」や「資格の有無」によって左右される傾向があります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和4年度)によると、土木作業員(建設従事者全般を含む)の平均年収は約400万円前後となっています。ただし、これは年齢層・地域・企業規模によって幅があるため、実際にはもう少し広いレンジで見る必要があります。
たとえば、18〜19歳で現場に入った場合、最初の年収は250〜300万円台が多く、月給ベースでいえば20万円前後が一般的です。しかし、20代後半〜30代にかけて経験を積み、必要な技術を習得すれば、年収は400万円を超える水準に達します。40代以降になると、班長や職長などの立場に就くことで、500万円以上の収入を得ている人も少なくありません。これは高卒でスタートした場合でも同様です。
また、勤務先が公共工事を主体とする会社か、民間工事メインかによっても給与水準には差があります。前者は比較的安定した受注があるため、賞与や昇給が定期的に支給される傾向が見られます。さらに地域によって最低賃金や現場単価が異なるため、大都市圏と地方部では年収に開きが生じるケースもあります。
重要なのは、土木業界では「学歴がキャリアを決める」のではなく、「現場での信頼と積み重ね」が収入のベースを作るということです。高卒で入った場合でも、早くから実践に関わることができるため、努力次第で収入の伸びは十分に見込めます。
高卒と大卒で年収はどれだけ違う?昇給に差はあるのか
高卒と大卒、それぞれが土木業界で働いた場合、年収に明確な差はあるのでしょうか。答えは「初任給には差が出るが、長期的には実力次第で逆転もあり得る」です。国土交通省の調査や業界団体の資料を見ると、新卒初任給の段階では、大卒者の方が月に2〜4万円ほど高い水準からスタートする傾向があります。これは一般職の総合職として採用され、管理部門や設計・積算などを担当することが多いためです。
一方で、高卒で現場に入った場合は作業員や技術補助職としてのスタートになることが多く、初任給はやや低めです。しかし、土木の現場では「手に職」がものを言う場面が多く、施工管理技士や建設機械施工技士といった国家資格を取得しながらキャリアを積むことで、昇給のスピードは一気に加速します。とくに現場での信頼と実績がものをいう職種では、学歴以上に「現場経験」が昇給の鍵となります。
また、中小企業においては、役職や手当がつくことで年収が大きく上がるケースが多く見られます。高卒でも20代で班長、30代で現場責任者として活躍している人材は多く、給与の逆転現象が起きている場面も少なくありません。大卒でも現場経験が浅ければ昇進のチャンスが遅れることもあるため、「学歴=収入」という図式はこの業界ではあまり強く機能しないのが実情です。
結論として、スタートラインには多少の差があるものの、土木業界は経験と努力でその差を埋められる、非常に実力主義的なフィールドです。早期から現場で働けるという点で、高卒の強みが活きる場面も多くあります。
年収を上げるために必要なスキルや資格とは?
土木業界で年収を着実に上げていくためには、日々の仕事をこなすだけでは足りません。現場での信頼を得ることはもちろんですが、それに加えて「資格」と「技術」が評価の対象となりやすいことが、この業界の特徴です。とくに国家資格である「土木施工管理技士」は、給与水準に大きく影響する代表的な資格の一つです。
土木施工管理技士には2級と1級があり、まずは実務経験を積むことで2級の受験資格が得られます。2級取得後、さらに数年の経験を経て1級を目指すという流れが一般的です。これらの資格を取得すると、現場での管理業務に関われるようになり、作業者から監督者へのステップアップが可能となります。この段階で基本給や資格手当が上乗せされるケースが多く、年収で50〜100万円単位の差が生まれることも珍しくありません。
また、建設機械の運転資格(バックホウやクレーンなど)も実務上重要で、複数の機械を扱える技能者は重宝されます。特定の技能講習を修了することで取得できるため、現場でのスキルアップと並行して目指しやすい点も魅力です。こうした資格があれば、任される仕事の幅が広がり、それに応じて収入も上がりやすくなります。
さらに、現場でのコミュニケーション能力や段取り力も、評価されるスキルです。図面の理解、材料の管理、安全意識の高さなど、技術職としての総合力が問われるため、「ただ働くだけ」では年収の上昇は見込めません。逆にいえば、努力して技術と知識を積み上げれば、高卒からでも管理職や上級技術者への道は十分に開かれています。
稼げる会社の特徴とは?求人を見るときのチェックポイント
「同じような仕事なのに、なぜこんなに給与が違うのか」と感じることは、土木業界の求人を見ているとよくあります。年収を上げたいと考えるなら、まずはどんな会社に入るかが重要なポイントです。会社ごとの方針や制度の違いが、長期的な収入に大きな影響を与えるからです。
たとえば、賞与や昇給の制度が明確に示されているかどうかは大切な確認ポイントです。「年1回昇給あり」「賞与年2回(前年度実績あり)」といった記載があれば、定期的な収入の増加が見込めます。また、現場ごとの手当や資格手当があるかどうかも要チェックです。手当の有無で月収が1〜2万円変わることもあります。
次に確認したいのが、「施工実績」や「受注元」の情報です。公共工事を多く請け負う会社は景気変動の影響を受けにくく、収入が安定しやすい傾向にあります。また、元請として受注しているか、下請が中心かによっても、現場の責任範囲や報酬の幅が変わってきます。元請であればマネジメント経験を積みやすく、早くから昇進のチャンスが得られる可能性もあります。
さらに、「未経験者歓迎」と書かれているかも見逃せません。高卒から土木業界に入る場合、未経験でも受け入れる体制が整っている企業かどうかは安心材料になります。教育体制やフォロー制度の記載がある会社ほど、現場で長く働きやすい傾向にあります。
たとえば、福井組では未経験からスタートした若手社員も多数活躍しており、地元で安定して働きながら、技術や資格を着実に身につけていける環境が整っています。求人情報は以下のリンクから確認できます。
→ https://www.fukuigumi.com/recruit
高卒スタートでも年収アップは現実的。そのためにできること
土木業界は、「学歴よりも経験と努力」がものを言う数少ない職種のひとつです。高卒というスタート地点に不安を感じる必要はありません。むしろ、早くから現場に出て経験を積めるという点で、高卒は大きなアドバンテージになります。もちろん年収を伸ばすには、ただ働くだけでは不十分で、資格の取得や技術力の向上、周囲との連携力といった「積み上げ」が求められます。
重要なのは、自分の現在地を正確に把握し、目指すべき方向を具体的に持つことです。年収を上げる道筋は一つではありません。現場での経験を強みにする道もあれば、資格を武器に管理職を目指す道もあります。そのいずれもが、地道な積み重ねの先にある成果です。
就職先を選ぶときは、待遇面だけでなく、長く働ける環境かどうかも見極めることが大切です。どんな場所で、誰と、どんな姿勢で働くのか。その選択が、将来の年収にも大きく関わってきます。
土木業界でのキャリアに興味がある方は、ぜひ一度会社に相談してみてください。